iPodにも補償金を――文化庁が案提示:私的録音録画小委員会
iPodやHDDレコーダーを補償金の課金対象にする、という案を、文化庁が小委員会で提示。JEITAなどが疑問を呈し、議論が紛糾した。案の全文を掲載する。
文化庁長官の諮問機関・文化審議会著作権分科会の「私的録音録画小委員会」の今期第2回会合が5月8日に開かれた。文化庁は、iPodやHDDレコーダーなど「記録媒体を内蔵した一体型機器」を、録音録画補償金の課金対象とする制度改正案を提示。電子情報技術産業協会(JEITA)の委員などが「補償金の課金対象が際限なく拡大するのでは」などと懸念を述べ、議論が紛糾した。
文化庁の案は「DRMによってコンテンツの複製回数を完全にコントロールできれば、補償金は不要になる」とし、著作権法30条2項に定めた補償金制度を順次縮小していく――という前提に立ちながらも、「当面の経過的措置」として「音楽CDからの録音や、デジタル放送の録画については補償金でカバーすることを検討すべき」としている。
従来、補償金が課金されていたのは、MDレコーダー、DVDレコーダー、MD、DVD−RWなど、録画・録音機器とメディアが別々になっている「分離型専用機器」「専用記録媒体」だったが、案ではこれに加え、iPodなど「携帯用オーディオレコーダー」や、HDDレコーダーなど「録音録画を主たる用途としている機器のうち、記録媒体を内蔵した一体型のもの」を課金対象に加えることを提案している。
PCなど汎用機器は課金対象外。「録音録画機能を含めて複数の機能がある機器で、どの機能が主要な機能といえないものは、対象とすべきでない」とした。
この案については、JEITA常務理事の長谷川英一委員が「補償金制度が際限なく拡大するというふうにもとらえられ、制度の縮小・廃止に向けた道筋が見えない」などとし、文化庁に対して、補償金縮小の道筋を具体的に示すよう求めた。
文化庁が提示した案は、以下の通り。
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